アフターコロナ、各業界の生の声

    ◎日本語学校

     今年度から、留学生を含む中長期在留者のうち、厚生労働省が定める国からの入国者に対して、入国前結核スクリーニングが義務化されました。現時点では、フィリピン・ベトナム・インドネシア・ネパール・ミャンマー・中国が対象国となっています。

     これにより入国前の在留資格認定証明書交付申請時(ビザ申請時)に、従来の必要書類に併せて「結核非発病証明書」の提出が必須となります。この証明書は、日本国政府が指定する国外の医療機関でのみ取得できます。

     留学生など入国希望者にとっては、ビザ取得に係る手間が増え大変かと思います。しかしながら、我々の様な日本語教育機関を含め、受け入れる側にとっては非常にありがたい制度だと言えます。

     入国後に結核への感染が発覚すると、受け入れ側としては適切に対応しなければいけません。学生を個室に隔離し、すぐに指定医療機関で受診させます。感染経路の特定や、ご家族への説明、また保健所対応などで、業務負担は一気に増えます。

     数年前の事ですが、と或る学生が健康診断の結果、結核の疑いがある事が分かり、その後の血液検査で結核の感染が判明しました。その際には医療機関への引率などで、職員1名が専属で対応し、業務運営に大きな支障が出ました。またこの時は、学生本人にとっても経済的な負担が生じてしまいました。通常結核医療に必要な医療費は公費負担の対象になりますが、当該学生の場合、公費負担の対象外である薬の投薬が必要で、その部分は自己負担になってしまったからです。

     今回の制度を受けて、受入側の負担が軽減されるだけでなく、学生自身も入国前に自分の健康状態を確認する事ができます。また医療機関に於いても、真に治療を必要とする患者さんに対して、より適切に資源を配分し、治療に専念できるようになると思います。その意味で大変意義がある制度改正だと思います。               さくらパンゲア語学院常務 田村源基

    問い合わせバナー